教員免許状取得への道のり(中学・高校編)

高校生イメージ

小学校の教員免許状が、専修、一種、二種の種別ごとに一種類なのに対し、中学校と高校の教員免許状は、教科別に分かれています。当たり前ですが、国語を教えるためには国語の免許状が、数学を教えるためには数学の免許状が、必要になってきます。

教科の種類をまとめたのが表1です。

表1 中学校・高校の教員免許状の種類
中学校 高校
国語/数学/理科/社会/保健体育/音楽/美術/家庭/技術/職業/職業指導/職業実習/宗教/外国語(英語、中国語、フランス語、ドイツ語、その他の言語に分かれる) 国語/数学/理科/社会/保健体育/音楽/美術/家庭/技術/職業指導/職業実習/宗教/外国語(英語、中国語、フランス語、ドイツ語、その他の言語に分かれる)/看護/情報/農業/商業/水産/福祉/商船

 中学校を順番に見ていくと「技術」までは分かるとして、「職業」以降は「?」と思った人もいるでしょう。外国語も「英語」以外は、「中学校で教えることなんてあるの?」と、疑問に思う人がいるはずです。

たしかに、公立の中学校にこれらの教科はありません。ただ、特別支援学校には「職業」などの教科があり、私立の宗教系の中学校や高校には「宗教」の授業があります。

また、大学の中には英語以外の外国語で受験できる所もあるため、私立の中高一貫校の中には、希望者に中国語やフランス語を教えている学校もあります。

こうして見ると、中学校・高校の教員免許状は種類が豊富で、広く門戸が開かれているように思えます。ただ、「職業」や「宗教」、英語以外の外国語などは、免許状を取得できる大学が限られていますし、採用試験も狭き門です。もし、「ついでに取っておこう」程度に考えている人がいたら、安易な考えは持たないほうがよいでしょう。

さて、上記を踏まえて、中学校・高校の教員免許状取得までの道のりを具体的に見ていきましょう。

まず、最低限必要なのは、「高等学校を卒業していること」です。この点は、小学校と同じで、中卒では原則として教師になれません。ただし、大検(大学入学資格検定)に合格していれば大丈夫です。

高校卒業(大検合格)後の道のりは、大きく二つに分かれます。

①中学校・高校各教科の免許状が取得できる大学の学部・学科に進学
②上記①以外の大学に進学後、他大学へ編入or通信教育課程などで必要な単位を取得

「中学校か高校の先生になりたい!」という人の多くは、①を選択しています。中学校・高校の免許状が取得できる大学は、以下のとおりです。

中学校・高校の教員免許状が取得できる大学

(平成21年4月1日現在)

一種免許状が取れる大学数は、国語が331、数学が488、理科が795、社会が1320などとなっています。小学校の一種免許状を取れる大学数が219ですから、中学校のほうが多いことが分かります。つまり、免許を取れる大学数だけで見れば、中学校の免許状は、小学校よりも「取りやすい」と言うことができます。

一方で、「取りやすい」=「持っている人が多い」ことでもあります。それはすなわち、採用試験のライバルが多いということです。でも、1000以上の大学で免許が取れる社会科は、採用試験の倍率も高い傾向があります。

なお、同一教科であれば、中学校と高校の両免許状を取るのは、さほど難しくありません。実際、多くの大学生がそのようにして、採用試験の段階で中高どちらを受けるかを決めているようです。

①以外の大学へ進んだ後、突然「やっぱり教師になりたい!」と思い立った人には、②の道のりがあります。その場合は、大学の教務課などに相談して、どうすれば免許状取得に必要な単位がそろうか、確認をするようにしましょう。

ちなみに、小学校にある「教員資格認定試験」は、中学校には存在しません。また、高校では一部の教科で行われていましたが、2004年度に休止されています。

すなわち、中学校・高校の教師になるには、大学へ通って、地道に単位を取得していくしかありません。気合を入れて、がんばってください!