教員免許状取得への道のり(特別支援学校編)

ドッヂボールをする小学生男子と女性教師

「特別支援学校」という名称に、馴染みのない方もいるでしょう。以前は、「特殊学校」と呼ばれ、盲学校、ろう学校、養護学校の三つに分かれていました。それらが「特別支援学校」として一本化されたのは、2007年のことです。

特別支援学校には、幼稚部、小学部、中学部、高等部などがあります。つまり、年齢的には4才から18才まで、実に幅広い年齢の子どもが在籍しています。視覚に障害のある子もいれば、聴覚に障害のある子もいます。また、知的な発達が遅れている子もいれば、身体が不自由な子もいます。

それだけに、特別支援学校の教員には、さまざまな個性と能力の子どもたちに、柔軟に対応していく力が求められます。小中学校の先生とは、求められる教育的な技術も違ってきます。

とはいえ、「子どもを育てて、社会へ送り出す」という、教育者としての役割自体に何ら変わりはありません。つまり、「教員としての資質」と「特別支援教育を実施していく能力」の両方が求められるわけです。そのため、特別支援学校の教員免許状を取得するには、小、中、高校のいずれかの教員免許状を基礎資格として持っていなければなりません。

それでは、特別支援学校教員免許状取得までの道のりを見て行きましょう。

まず、最低限必要なのは、「高等学校を卒業していること」です。中卒では原則として教師になれません。ただし、大検(大学入学資格検定)に合格していれば大丈夫。この点は、小学校や中学、高校の教員免許状と同じです。

高校卒業(大検合格)後の道のりは、大きく三つに分かれます。

 ①特別支援学校の免許状が取得できる大学の学部・学科に進学
 ②上記①以外の大学に進学後、他大学へ編入or通信教育課程などで必要な単位を取得
 ③特別支援学校教員資格認定試験に合格

一般的なのは、やはり①です。特別支援学校の免許状が取得できる大学は、以下のとおりです。

特別支援学校教員一種免許状が取得できる大学

特別支援学校教員二種免許状が取得できる大学

特別支援学校教員専修免許状が取得できる大学

(平成21年4月1日現在)

一種免許状の場合、取得できる学校数は163。小学校や中学校、高校よりも少なめです。また、よく見ていくと、私立よりも国立・公立が圧倒的に多いことがわかります。

①以外の大学へ進学した後、ボランティア活動などを通じて、「特別支援学校の教師になりたい!」と思い立った人には、②の道のりがあります。まずは、大学の教務課などに相談して、どうすれば免許状取得に必要な単位がそろうか、確認をするようにしましょう。

また、③の教員資格認定試験は、①②とは全く異なる、いわば「奥の手」です。チャンスは年1回。1次試験が8月末、2次試験が10月下旬に行われ、11月下旬までに合格者が発表されます。難易度は高いですが、合格した人には、一種免許状が授与されます。この点は、二種免許状が授与される小学校と異なる点です。

余談ですが、現状、特別支援学校の教員のすべてが、この免許状を持っているわけではありません。所持率は、平成22年時点で70%。つまり、特別支援学校の教員免許状を持っている人が「足りていない」のです。

そのため、特例措置として、小学校の免許を持っていれば特別支援学校の小学部で、中学校の免許を持っていれば同じく中学部で、教員を務められる制度になっています。

こうして考えると、特別支援学校の教員免許状の付加価値は大きく、採用試験において有利に働く可能性があるかもしれません。