教師の12か月

廊下を歩く女性教師とはしゃぐ小学生女子

学校の1年は4月に始まり、3月に終わります。その大まかな流れは、日本の小中学校に通った人なら分かるでしょうが、ここでは「教師目線」で、学校の1年(3学期制)を見ていくことにします。

まずは4月。入学式始業式があります。最初の大仕事は「学級(クラス)開き」。担任として、児童生徒の前に初登場し、メッセージを語ります。特に小学校の場合、ここで何を語るかが、学級づくりを進めていくうえで、とても重要になってきます。さらに、年度最初の授業参観・懇談会があります。保護者への信頼を得るはじめの一歩です。

5月には家庭訪問があります。多い日は1日に7~8軒も回ることがあり、皆さんが想像している以上にハードです。しっかりと道順を調べて回らないといけません。なお、最近は、居間に上がらず、玄関先で終わらせることも多いようです。また、家庭訪問そのものを実施しない学校も増えてきています。

6月は比較的落ち着いた時期。そのため、多くの学校に教育実習生がやってきます。受け入れる側になるとわかりますが、これがなかなか大変です。必要に応じて教育実習生をフォローし、不十分な単元は再授業をすることもあります。

7月には、通知表の作成があります。これが結構ななかなかの大仕事です。30~40人分の成績を間違いなくつけ、所見欄を書くのに悪戦苦闘する先生も少なくありません。

8月は夏休み!と喜びたいところですが、お休みなのは子どもたちだけ。教師は民間企業と同じで、お盆休みがある以外は通常勤務です。研修に参加したり、教材研究に励んだりします。

9~11月にかけては、運動会(体育祭)文化祭(学芸会)などの大きな行事が立て続けにあります。子どもたちにとっては楽しみな行事ですが、裏方の先生方は大変です。他の先生と協力しながら、計画立案や準備に忙殺されます。それ以外にも、校内外における研究発表会など研修の成果を問う時期でもあります。

12月には再び、通知表づくりです。年賀状は書く先生と書かない先生がいますが、書く場合は、差出人住所を学校にするのが最近では一般的なようです。

1月~2月ごろになると、そろそろ教科の進捗状況が気になります。遅れ気味なクラスの先生は、焦りも出始めるころですが、この時期はインフルエンザが流行する時期。学級閉鎖が追い打ちをかけることもあります。

そして3月は、卒業式修了式があります。小6や中3の担任は、卒業準備に追われます。加えて通知表や指導要録の作成もあります。教師にとっては、1年で一番忙しい月です。

こうして見ても、学校には毎月、何らかの行事やイベントがあります。教師は、それら行事・イベントの計画・準備をしつつ、通常授業をするわけですから、なかなか大変です。中学校の場合、部活動の顧問になれば、各種大会やコンクールなども入ってきます。

なお、最近は運動会(体育祭)を5月ごろに開催する学校もあります。これは、9~11月には他にも行事が多く、忙しさを緩和するための措置でもあります。また、2学期制を採用している自治体もありますが、これも教師の負担を減らし、子どもとの時間を増やすための措置と言われています。

教師の多忙さを緩和するための工夫もいろいろと進んでいるようですが、大変なことに変わりはありません。1年間をしっかりと乗り切る「スタミナ」が必要そうですね。