景気が悪くなると、民間企業では「リストラ」が行われます。もちろん、うまく転職できれば良いでしょうが、元いた会社よりも良い待遇で再就職できる人は、多くありません。
また、退職を迫られないまでも、子会社に出向させられたり、大幅に給料が下がったりすることもあります。
一方で、公立学校の教師にはリストラがありません。よほど信用を損ねること(飲酒運転で事故を起こしたり、児童生徒にわいせつ行為をしたり…)をしない限り、辞めさせられることもなければ、急に給料が下がることもありません。
最近は「安定」のために資格を取ったり、語学を習得したりする人もいます。でも、資格や語学力があれば、職選びに困らないかといえば、そんなことはありません。
弁護士資格を有していても、事務所に就職できなかったり、仕事がなかったりして、経済的に不安定な人もいます。弁護士がそうなのですから、他の資格は言わずもがなです。
そう考えると、こと「安定」ということに関していえば、公立学校の教師(教育公務員)は、公務員としては特に「最強」の部類と言えるかもしれません。
以前、結婚相手に望む条件として、「安定した経済力」を挙げる女性が増えているというニュースが出ていました。また、結婚できない理由として、「経済的に不安定だから」を挙げる男性も少なくありません。
そう、教師になれば、結婚もしやすくなるし、家庭も持ちやすくなる!…なんて言うと、「そんな理由で教師を選ぶな」と怒られそうですが、幸せな家庭を作ることに重きを置くのなら、教師という仕事は大きなアドバンテージになるはずです。
一方、女性の視点から見ると、育児休業を取りやすいことが、何よりも魅力です。
もちろん、民間企業にも育児休職制度はあります。ただ、会社によっては、取得後の復帰が大変だったり、上司に良い顔をされなかったりすることもあります。そのため、出産を機に退職する人も少なくありません。
一方で、職員室に目をやると、子どもが2人、3人いながらバリバリ働いている女性教師が大勢いることを目にします。その背景には、
・職務的に、教師としての専門的スキルがあれば、スムーズに復帰しやすいこと
・育児休業が最長3年まで取得できること
・育児休業中の給付金が充実していること
・復帰後の「短縮勤務」制度などがあり、子育てがしやすいこと
・女性が多い職場のため、育児休業を取得する「文化」が根付いていること
などの理由があります。このうち、給付金については、休業前の給料の約半分が支給される(八尾坂修監修『教員をめざす人の本』123頁)わけですから、民間の人からすれば大変うらやましい話です。
男性にとっても、女性にとっても、教師という仕事が、安定した生活を送るうえで恵まれていることがお分かりいただけると思います。