教員免許状の取得に必要な単位

hat toss

どのような道のりを歩めば教員免許状が取れるかについては、「教員免許状取得への道のり」の記事で、学校種別に見てきました。

もちろん、その道のりを行けば、誰でも教員免許状を取れるわけではありません。それぞれの道のりで、しっかりと必要な「単位」を取っていかなければなりません。例えて言えば、自分が歩んでいった道の木々に成る「実」を一つ一つ、しっかりともぎ取っていくことで、教師の「お墨つき」(免許状)がもらえるのです。

言い換えれば、どの道を通ろうと、必要な実さえそろえれば、お墨つきはもらえます。ある道を通って、必要な実の半分をそろえて、その後数年が経った後に、別の道を通って残り半分の実をそろえてもかまいません。

 すなわち、必要な単位をしっかりとそろえれば、教員免許状は取得できるのです。年齢制限はないので、何歳になっても大丈夫です。ただし、採用試験において、年齢制限を設けている自治体があるので、その点は注意が必要です。

では、具体的にどんな単位をどれだけそろえればよいのでしょうか。小・中・高校の免許状の必要単位数を示したのが、表1です。

表1 教員免許状の取得に必要な単位数(小・中・高校)
    教科に関する科目 教職に関する科目 教科又は教職 その他 合計
小学校教諭   専修 8 41 34 8 91
一種 8 41 10 8 67
二種 4 31 2 8 45
中学校教諭   専修 20 31 32 8 91
一種 20 31 8 8 67
二種 10 21 4 8 43
高等学校教諭  専修 20 23 40 8 91
一種 20 23 16 8 67

  いずれの校種も、専修免許状が91、一種免許状が67となっています。教員養成系の大学では、これだけの単位を6年間もしくは4年間で習得できるよう、カリキュラムが組まれています。

「教科に関する科目」とは、国語なら国語について、社会なら社会について、専門科目の知識を深めるための科目です。中学校や高校の教師は教科担当制ですから、小学校よりもこれが多いのは当然ですね。

一方で「教職に関する科目」は、教師として求められる基本的資質を高めるための科目です。具体的には、教師の役割や職務について知識を深めたり、教育に関する歴史を学んだり、公立学校の制度や仕組みを学んだりします。教科の知識以外の「教師として求められる総合力」を高めるための科目と言ってもよいでしょう。

「教科に関する科目」と「教職に関する科目」は、必要数に上乗せして履修していくことで「教科又は教職」にカウントされます。例えば、小学校の「教科に関する科目」を24単位、「教職に関する科目」を59単位取得すれば、それぞれの上乗せ分が16+18=34単位となり、「教科又は教職」の必要数を満たすことになります。

なお、「その他」は、「日本国憲法」「体育」「外国語コミュニケーション」「情報機器の操作」を各2単位、計8単位です。うっかり落としてしまう人もいるので、注意しましょう。

続いて、特別支援学校の免許状の必要単位数を示したのが表2です。

表2 教員免許状の取得に必要な単位数(特別支援学校)
    特別支援教育の基礎理論に関する科目 特別支援教育領域に関する科目 免許状に定められることとなる特別支援教育領域以外の領域に関する科目 障害のある幼児児童生徒についての教育実習 合計
特別支援学校教諭 専修 2 16 5 3 26
一種 2 16 5 3 26
二種 2 8 3 3 16

必要単位数の合計は16~26。「え?これだけでいいの?」と思う人もいるでしょうが、もちろん、そんなことはありません。特別支援教育の免許状は、基礎資格として小・中・高校の免許状が必要で、これらの単位はプラスアルファで取らねばいけないのです。

続いて、養護教諭の免許状の必要単位数を示したのが表3です。

表3 教員免許状の取得に必要な単位数(養護教諭)
    養護に関する科目 教職に関する科目 護又は教職 合計
養護教諭 専修 28 21 31 80
一種 28 21 7 56
二種 24 14 4 42

 養護教諭は、「教諭」と付く以上は授業も行うことができるわけですが、実際にほとんど教壇に立つことはありません。それなら、養護に関する知識や技能さえあれば事足りるような気もしますが、実際には「教職に関する科目」も、結構な数の単位を習得しなければなりません。

これは、養護教諭の仕事が、学校の教育活動と深く結びついていることの証でもあります。言い換えれば、学校のこと、教育のことをよく理解していないと、決して務まらない仕事なのです。