小学校の先生は、国語、算数などの主要教科から、音楽、体育などに至るまで、全教科を教える力が求められます。加えて、1~6年生まで、全学年を教える力も求められます。それだけに、教員免許状取得への道のりも容易ではありません。
それでは、小学校教員免許状取得までの道のりを見て行きましょう。
まず、最低限必要なこと。それは、「高等学校を卒業していること」です。中卒では原則として教師になれません。ただし、大検(大学入学資格検定)に合格していれば大丈夫です。
高校卒業(大検合格)後の道のりは、大きく三つに分かれます。
①小学校教員養成課程のある大学の学部・学科に進学 |
②上記①以外の大学に進学後、他大学へ編入or通信教育課程などで必要な単位を取得 |
③小学校教員資格認定試験に合格 |
小学校の先生になりたい人の多くは、①を選択します。小学校一種免許状が取得できる大学の一覧は、以下のとおりです。
(平成21年4月1日現在)
ご覧いただいてわかるように、すべての都道府県に最低一つは、小学校になるための大学があります。ただし、一県に一大学のみ、という所も少なくありません。
小学校の教師になる一番の近道は、やはりこれらの大学に進学することです。②、③の道のりに比べても確実です。いわば、小学校教師になるための「王道」といえます。
ただ、これらの大学に行くと、民間企業への就職は厳しくなります。もちろん、うまく転進する人もいますが、就職率は高くありません。その意味では、①の道を歩むのなら「自分は絶対に小学校の教師になる!」と、覚悟を固めておいたほうがよいでしょう。
次に、国立と私立の比較で言うと、どちらが免許状を取りやすい、取りにくいというのはありません。どちらも、真面目に学んでいけば、ほぼ間違いなく免許状を取れます。
気になるのは、その先の採用試験です。「国立のほうが有利」なんて言う人がいますが、本当にそうなのでしょうか。
結論から言うと、断じてそんなことはありません。大学名や国公私立の差別はなく、教員採用試験の選考は公平平等に、「学歴不問」の「実力勝負」で行われています。
ただ、教員採用試験には一般教養の筆記試験があり、ここで求められる能力は、センター試験で求められる能力と似ています。そのため、センター試験の勉強を積んできた国立大学の学生に、やや有利に働く側面はあるのかもしれません。
小学校の教師になる!という決意を固めきれていない人には、②の選択肢があります。ただし、この道を通って小学校教員の免許を取るのは、なかなか大変です。大学4年間の他に、数年は必要だと考えたほうがよいでしょう。
例えば、小学校免許状を取らないまま社会人になった人が、「やっぱり先生になりたい!」と思った時なども、②の道のりと同様、通信教育課程などを使って免許状を取ることができます。
③の小学校教員資格認定試験(文部科学省)は、①②とは全く異なる、いわば「奥の手」です。チャンスは年1回。1次試験が8月末、2次試験が10月下旬、「指導の実践に関する事項に係る試験」が11月中旬に行われ、十分な能力が備わっていると認められた人にのみ、小学校免許状が授与されます。ただし、授与されるのは「二種免許状」です。
この試験、合格するのは容易じゃありません。合格率は、毎年1割以下。そうですよね。これで簡単に取れるようなら、教員養成課程の大学なんて、誰も行かなくなってしまいます。
いずれにせよ、小学校教員免許状取得への道のりは、そう簡単ではありません。教師は専門職ですから、当然といえば当然です。強い決意を持って臨んでください。