教師の1日(小学校編)

Elementary school students raising hands

教師の1日は、どんな感じなのでしょうか。ある小学校に勤務し、4年生を受け持つA先生の1日を見ていくことにします。

A先生の起床は、午前6時。そうです。教師の朝は早いのです。身だしなみを整えて、食事をして、7時すぎには自宅を出て、自動車で学校へ向かいます。

学校に着くのは午前7時40分頃。もう職員室には数人の先生が来ています。一番早いのは教頭先生で、毎朝7時に来ているそうです。8時前には、ほとんどの先生が顔を揃え、授業の準備などをしています。

8時15分からは職員室での朝の打ち合わせ(朝礼)があり、校長先生や教頭(副校長)先生からの連絡などがあります。その後、子どもたちの待つ教室へと移動します。

先生が「ガラリ」と戸を開けると、騒がしかった子どもたちが一斉に席に付きます(こうなったら、大したものです)。時刻は8時30分。日直の号令とともに、教室での1日が始まります。

最初は朝の会。出欠を取りながら、子どもたちの健康状態を把握します。最近は10分ほど「朝の読書」をする学校も多いようです。

1時間目の授業は8時40分~9時25分。小学校は45分授業、10分の休み時間があって、9時35分から10時20分までが2時間目の授業です。A先生は、休み時間もなるべく子どもたちと過ごすようにしています。

小学校の場合、2時間目と3時間目の間の休み時間は通常よりも長く、20分ほどあります。(地域によって「中休み」「大休み」「業間休み」などさまざまな言い方があります。)職員室に戻る先生も多いですが、A先生は教室や運動場で、子どもたちと一緒に過ごします。

その後、3時間目、4時間目と授業が続きます。空き時間はなく、4時間連続の授業なので、大変です。4時間になると、子どもたちの集中力も切れてくるので、気合を入れ直します。

午前の授業が終わるのは12時20分。ようやく、うれしい給食の時間です。給食係が配膳を済ますと、日直の号令で「いただきます」。もちろん、先生も教室で、子どもたちと一緒に食べます。A先生は班の中に入り、子どもたちの様子をよく観察しながら、クラスの人間関係や一人ひとりの健康状態を把握するそうです。

給食の後は、お昼休み。ここでもA先生は子どもたちと一緒に過ごします。休み時間中にけがをしたり、トラブルを起こす子どもも多いので、その対応に追われることもあります。続いて掃除の時間があり、教室や廊下などで、子どもたちの様子を見守ります。

午後の授業は13時40分から始まり、最終の6時間目が終わるのは15時20分。「帰りの会」で初連絡を行い、子どもたちを帰らせた後、ようやく一息つくのは、だいたい16時前くらいです。

これで1日のお仕事終了!…と言いたいところですが、そうは問屋が卸しません。放課後も、教材のプリントを作ったり、学級通信を作ったり、校務をこなしたりと仕事はたくさんあります。

職員会議や研修会が行われる日もあれば、A先生が所属する教務部の会議が行われる日もあります。一応の退勤時間は16時30分ですが、その時間に帰れることは、まずありません。

夜7時過ぎにようやく学校を後にしたA先生は、8時少し前に帰宅。遅めの夕食をとった後、少しだけテレビを見るなどして過ごした後、10時すぎから書斎へ。1時間ほど子どもの提出物の確認、テストの丸付けなどをします。こうした「持ち帰り仕事」をする先生は少なくありません。

風呂に入って、ようやく布団に入れるのは、深夜0時ごろ。いつもクタクタで、布団に入ると5分もたたないうちに、深い眠りに落ちます。これがA先生の1日です。

こうして見ると、教師という仕事がいかに大変かが分かります。朝は早く、学校ではほとんど気を抜くことができず、帰宅後も仕事に追われる…。常に「教師」として振る舞うことが求められ、自分の時間を持てるのは、夜の1~2時間程度です。この点についてA先生に話を聞くと、意外な言葉が返ってきました。

「慌ただしいですが、忙しいとは思いません。民間企業の中には、これよりもハードな人はいるでしょう。子どもと過ごすのは楽しいし、教材研究や校務も苦痛だと思ったことはなく、むしろどうしたら授業が楽しくなるか、クラスが盛り上がるかといつも考えています。さすがに夜はクタクタになりますが、心地良い疲れといったところですね」

これぞ教師の鏡ですね。