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あなたは教師向き?《教師適性チェックリスト》

ちょっと上を向いて考える若いビジネスマン

教師になりたい!という人なら、誰だって一度は、「自分は教師に向いているんだろうか・・・」と考えてみたことがあるでしょう。そこで今回、本サイトの監修・金山康博先生の協力を得て、「教師適性チェックリスト」を作成してみました。以下、10の質問に「はい」か「いいえ」で答え、「はい」がいくつあったかを確認ください。

Q1 大人と話をするよりも、子どもと話をするほうが好き

Q2 小さなことは気にならない大胆さが武器だと自認している

Q3 何かと傷つきやすい繊細なタイプだと思う

Q4 人を褒めることよりも、悪いところを的確に指摘するのが得意

Q5 どんな時も自分の意見を押し通す強さを備えている

Q6 「聞き上手」というより「話し上手」である

Q7 どちらかと言うと「一匹狼」タイプである

Q8 情熱的な感動屋さんで、気持ちが顔に出やすい

Q9 我慢するのは嫌いで、我慢しなくてもよいように状況を変えていきたい

Q10 仕事とプライベートのメリハリはしっかりとつけたい

 いかがでしたか? 「はい」の数が多い人ほど、教師に向いている…と思った人がいるかもしれませんが、実はその逆です。「はい」が少ない人ほど、教師に向いています。1項目ずつ解説していきましょう。

Q1 教師は子どもと話す以上に、同僚や管理職、保護者などの大人と対話する力が求められます。教師の志望動機に「子どもが好きだから」と言う人がいますが、一方で大人と話す力も求められるのが、教師という仕事なのです。

Q2、3 教師は「大胆さ」と「繊細さ」を兼ね備えている必要があります。矛盾するようですが、この二つをバランスよく持っている人でなければ、務まりません。いつまでもくよくよしているようではダメですし、一方で小さなことに気づく力も必要です。

Q4 子どもは、「褒める」ことで成長します。良いところを的確に見つけ、褒めることができない人は、子どもの成長を促せず、教師としても信頼されません。

Q5 自分の意見を述べることは大切ですが、それ以上に「謙虚さ」が求められます。何がなんでも、自分を押し通そうとする我の強いタイプは、決して教師向きとは言えません。

Q6 教師は「話す仕事」と思っている人は多いですが、「話し上手」を自認している人が、相手の心に響かない、理解できない話をダラダラしているケースは少なくありません。子どもや上司・同僚の話にしっかりと耳を傾ける力も必要です。

Q7 教師が「一匹狼」でいられたのは昔の話。今の学校組織は、校長先生をトップとしたチームで動きます。「一匹狼」でよいと考えているようなら、教師という仕事を選ばないほうがよいでしょう。

Q8 「熱血先生」は理想の教師像と捉えられがちですが、一方で「冷静さ」も必要です。すぐ逆上してしまうようでは、子どもに怒鳴り散らしたり、手を上げてしまったり(あってはならないことを)する可能性があります。

Q9 教育は、すぐに成果が現れるものではありません。いくら教えても理解に時間がかかることもあります。「忍耐力」が物を言う仕事だと言ってよいでしょう。

Q10 教師は、仕事とプライベートの境目が曖昧な職業です。「5時以降は仕事のことは忘れて過ごしたい」と考えても、現実的には難しいでしょう。むしろ、勤務時間以外も含め、教師という仕事を楽しもうとする姿勢が求められます。

「はい」が多かったからと言って、悲観する必要はありません。人は努力の積み重ねで変わることができます。自分に足りていない点は、これから克服すればよいのです。何より大切なのは、「教師になりたい」という熱い思いなのです。

免許状があるだけでは教師になれない!

授業中挙手をする小学生

教師になるまでのステップは、二つあります。一つ目のステップは、教員免許状を取得すること。二つ目のステップが、教師として採用されることです。いわば、教師への「就職試験」を通過しなくてはならないわけです。

教員採用試験を行うのは、各都道府県と政令指定都市です。ただし、北海道と札幌市のように、一部では合同で実施している所もあります。運転免許証を持っていれば日本中の道路を走れるのと同様に、教員免許状を持っていれば、日本全国どの自治体の採用試験を受けても構いません。

「採用」の形態は、大きく二つあります。一つは、教員採用試験に合格して正規採用教員となること、もう一つは「臨時的任用教員」として採用されることです。

一般的に、教師というと、正規採用教員をイメージする人が多いでしょうが、公立の小中学校には臨時的任用教員もたくさんいます。その中には、担任や部活動の顧問をしている人も少なくありません。

臨時的任用教員が、全体のどのくらいの割合に上るかというと、平成23年時点で8.8%(文部科学省「非正規教員の任用状況について」2012)です。その割合は年々増えています。この点は、意外と保護者には知られていません。

採用試験に合格すると、翌年4月から正規の本採用教員として、学校へ赴任します。一方、残念ながら合格できなかった人はどうするかというと、多くの人は現場で働きながら、翌年度の合格を目指します。臨時的任用教員の多くは、こうした人たちです。

もちろん、希望すれば誰でも臨時的任用教員になれるわけではありません。自治体に登録を申し込み、名簿に登載された後、必要に応じて声がかかります。自治体によっては、面接や試験が行われる所もあります。

臨時的任用教員が行う日々の仕事、背負う責任は、正規採用教員とほぼ同じです。そのため、初任給に大きな差はありません。ボーナスもきちんと出ます。

ならば、ずっと臨時的任用教員でいてもよいのでは・・・と思ってしまいそうですが、やはり長く勤めると給与額は開いていきますし、社会保障や退職金などは大きく違ってきます。ですから、絶対に教員採用試験に合格して、正規採用教員への道を目指すべきです。

教員採用試験はどのくらい難しい?

仲間

その昔、「でもしか先生」という言葉がありました。20~30代の人は、きっとご存じないでしょう。

高度経済成長期、日本は子どもの数が急激に増え、多くの教師を採用する必要が生じました。そのため、採用試験に合格するのが、今ほど難しくない時期があったのです。

そうした状況の中、特にやりたいことがないから「先生に“でも”なろうか」「先生になる“しか”ない」など言って、教師になる人がいたという話から、「でもしか先生」という言葉が生まれました。実際には、そんな教師はほとんどいなかったと思いますが・・・

今はどうかというと、「教師にでもなろうか」なんて軽い気持ちでは、とても採用試験は突破できません。教師は人気職種の一つ。合格への道のりは狭き門です。

以下は、学校種別の教員採用試験の競争倍率です。

小学校 4.4倍
中学校  7.7倍
高校 7.3倍
特別支援学校 3.4倍
養護教諭 8.2倍

(文部科学省「平成24年度 公立学校教員採用選考試験の実施状況について」より引用)

小学校の4.4倍を見て、この程度なら・・・と思った人もいるかもしれませんが、現実はそんなに甘くありません。1人が何十社も受ける一般企業と違い、教員採用試験は多くの人が「一本勝負」です。それでこの数字は、よほど努力しないと突破できないと考えたほうがよいでしょう。

競争倍率 高い自治体、低い自治体はどこ?

日本地図 日本 地図 立体

教員採用試験を行うのは、都道府県や政令指定都市などの自治体です。当然、競争倍率も、自治体によって違ってきます。少し前ですが、平成24年度のデータがあるので見てみましょう。倍率が高い順に並べると・・・

宮崎県 14.4倍
長崎県 13.0倍
熊本県 12.3倍
青森県、鹿児島県 11.2倍
沖縄県 10.7倍

(文部科学省「平成24年度 公立学校教員採用選考試験の実施状況について」より引用)

なぜか、九州地方が上位を独占しています。一方で、低い自治体はというと…

滋賀県 3.9倍
浜松市 4.0倍
富山県、北九州市 4.1倍
石川県、静岡市 4.3倍
千葉県・千葉市、香川県、大阪市 4.5倍

(文部科学省「平成24年度 公立学校教員採用選考試験の実施状況について」)

政令指定都市が目立ちます。あるいは、子どもの数が多い地域、増えている地域が、上位に来ているのかもしれません。

ただ、「倍率が低い所を受けよう」なんて安易な気持ちは禁物です。教師として採用されれば、その地域で一生を送る可能性は高いわけで、親兄弟や親戚と離れた地で、ゼロからやっていくだけの「覚悟」が必要です。

また、「なぜ、うちの自治体を受けるのですか?」という面接官の質問に、説得力のある答えを用意しておく必要もあります。「倍率が低かったからです!」なんて答えたら、即刻「不合格」の烙印を押されてしまいます。

ただ、隣接する自治体のどちらを受けるかで悩んでいるときなどは、競争倍率を一つの判断材料にすることもありでしょう。ただし、本当の競争倍率はフタを開けてみなければわかりません。低いと思っていた自治体が、予想外に高くなることだってあり得ます。

結論から言えば、自治体の競争倍率は、さほど意識はしないほうがよいと思います。むしろ、その自治体の教育理念、考え方などに共鳴できるかどうか、その地域に住みたいかどうかといった基準で選んだほうがよいでしょう。

採用試験のスケジュール 出願から合格までの道のり

8月の予定

教員採用試験の日程は、自治体によって異なりますが、おおまかなスケジュールは以下のとおりです。

募集要項の配布 4月中旬~
願書受付 4月上旬~6月上旬
1次試験 7月上旬~7月下旬
1次試験合格発表 7月下旬~8月上旬
2次試験 8月中旬~9月上旬
2次試験結果発表 9月上旬~10月上旬
正式内定 9月下旬~

願書を提出してから、合格を勝ち取るまで、約半年間。民間企業に比べれば、長丁場の戦いです。

2次試験の結果が発表され、「合格」となれば、晴れて正規採用教員!…と大喜びしたいところですが、実はそう言い切れないのが教員採用試験です。

合格者は、まず「採用候補者名簿」に登載されます。この名簿は、欠員などが生じることを想定して、やや多めに採用候補者が載せられています。そのため、欠員が少なかったときなどは、内定に至らないこともあるのです。

「合格」なのに「不採用」なんて…「一体、なんのための合格だったの!?」と、声を荒らげたくなりますよね。

中には、採用候補者を「A」「B」「C」にランク分けし、「A」から順に採用していく自治体もあります。その場合、「A」は内定、「C」は補欠扱いといった感じになります。

ただ、ほとんどの自治体は、採用候補者のランク分けをしておらず、その場合は、「合格」が出れば、ほぼ採用されると考えてよいでしょう。

採用試験対策を行ううえで、ネックになるのが、教育実習です。通常、教育実習は5~6月に行われますが、この時期は1次試験の直前期です。中には、教育実習に忙殺され、ろくに試験対策もできないまま、受験日を迎えてしまう人もあります。

その意味でも、採用試験対策は早い段階から、計画的に進めておく必要があるでしょう。

スタート地点は、募集要項の入手&出願から!

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さて、教員採用試験の第一歩は、募集要項を入手することです。どこで入手できるかというと、教育委員会の窓口です。郵送を依頼することもできます。毎年、4月~5月ごろに募集要項が配布され始めるので、ホームページなどで注意深くチェックしておきましょう。

募集要項が届いたら、内容をじっくりと読みます。斜め読みをしては、大切な事項を見落とすかもしれません。もう、ここから試験が始まっていると考えましょう。提出期限の確認も忘れてはいけません。

次に必要な書類をそろえます。多くの自治体は、例えば以下のような書類の提出が求められます。

・教員免許状のコピー(大学生の場合は取得見込証明書)

・卒業証書or修了証明書(大学生の場合は卒業見込証明書)

・成績証明書

・健康診断書

・写真

上記はあくまでも例です。自己PR文や推薦書が必要な自治体もあります。

たかが提出書類と思ってはいけません。ぼんやりしていたら、提出期限が間近!やばい!すぐにそろえなきゃ!と、慌てて大学に問い合わせたら「数日はかかる」と言われて大パニック…なんて人が、少なからずいます。

当たり前ですが、願書はていねいに、読みやすい字で書くことが大切です。そうです、ここでも、試験は始まっていると思いましょう。

写真のポイントは清潔感です。服装はもちろん、髪型も要注意です。男性の長髪、長い前髪は、どこか陰鬱ですっきりしない印象を与えます。女性も茶髪は避け、束ねておいたほうがよいでしょう。

教員採用試験は実力勝負、人物勝負です。それなのに、見た目が大切なのか?と問われれば、「イエス」と答えざるを得ません。もちろん、見た目だけで判断するわけではありませんが、見た目の印象はその人の中身も体現してしまうものです。

最近は、就職活動向けに、表情やポーズの作り方も指導しながら、撮影してくれる写真スタジオもあります。最善を尽くしたいなら、そうしたサービスを利用してみてもよいかもしれません。

一人でいくつの自治体を受験できる?

一人でいくつの自治体を受験できる?

教員採用試験の実施主体は、都道府県と政令指定都市合わせて、60以上あります。ならば、いっそ「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」の法則で、すべての自治体を受験してしまえ!…なんて思っても、それが無理なことくらいは、教師を目指す人ならご存じですよね。

そうです。教員採用試験は、隣接する自治体を併願できないように、日程が組まれているのです。

例えば関東地方の1次試験日程(平成25年実施)を見てみると・・・

茨城県 7月14日
栃木県 7月7日~14日
群馬県 7月14日
千葉県 7月14日
埼玉県 7月14日
東京都 7月14日
神奈川県 7月14日

ご覧のとおり、見事なまでに「7月14日(日)」でそろえられています。これでは、併願なんてできるはずもありません。

同じように、関西地方は7月13日前後、九州地方は7月21日前後、東北地方は7月28日前後、といった具合に、隣接する自治体同士が足並みを揃えています。なんだか、いじわるな感じがしますね。

でも、考えてみてください。もし、東京、横浜、埼玉、千葉などを併願することができたら、中には1人で3~4自治体の合格を勝ち取る人も出るでしょう。そうなれば、採用する側は大変です。補欠合格を次々と出すなど、対応にてんやわんやになるでしょう。隣接する自治体が日程をそろえている背景には、そうした事情があるのです。

一方で、地理的に離れた地域なら併願が可能です。例えば以下のようなスケジュールで受験していけば、計6回の1次試験を受けることができます。

6月30日 北海道 → 7月7日 新潟県 → 7月14日 東京都
7
月20日 愛知県 → 7月21日 兵庫県 → 7月27~28日 宮城県
(平成25年の試験日程)

これくらいが限界点でしょうか・・・。ただし、すべて1次試験を突破できても、愛知県と兵庫県の2次試験は、ダブルブッキングする可能性があります。

参考までに、東京に住む人が上記のスケジュールで受験していくと、かかる交通費と宿泊費の概算は、約12~13万円に上ります。

これは極端な例としても、1人で3~4自治体を受けるという人は、珍しくありません。幸い、受験料はかかりませんし、重ねて受験することで、面接対応も上達します。

もし、時間とお金に余力があるならば、採用試験へのモチベーションの維持や本番を体験して力をつけることなどのメリットの他に、ついでにご当地の観光も含めて複数の自治体を受けてみるのも、悪くないかもしれませんね。

知っておきたい教員免許の基礎知識

教室の机

自動車を運転するのに運転免許が必要なのと同様に、教壇に立つには教員免許が必要です。これを持たずして、教師になることはできません。

教員免許の正式名称は「教育職員免許状」。「免許証」ではなく「免許状」なので、大きさは賞状くらいあります。運転免許証と違って、持ち歩いている必要はありませんが、大切に保管をしておく必要はあります。

一言に「教員免許」と言っても、種類はさまざまです。大きく「一般免許状」「特別免許状」「臨時免許状」の三つがありますが、ここでは教員採用試験に必要な「一般免許状」について、詳しく説明をしていきます。

教員免許状は、学校種(小学校、中学校、高校…)などによって、7つの区分に分かれます。そして、この7区分は、免許を取る人の卒業レベルによって「専修免許状」「一種免許状」「二種免許状」に分かれています。これをまとめたのが表1です。

表1 教員免許状の種類
区分 大学院修士課程卒業 4年制大学卒業 短期大学卒業
幼稚園 幼稚園教諭専修免許状 幼稚園教諭一種免許状 幼稚園教諭二種免許状
小学校 小学校教諭専修免許状 小学校教諭一種免許状 小学校教諭二種免許状
中学校 中学校教諭専修免許状 中学校教諭一種免許状 中学校教諭二種免許状
高等学校 高等学校教諭専修免許状 高等学校教諭一種免許状
特別支援学校 特別支援学校教諭専修免許状 特別支援学校教諭一種免許状 特別支援学校教諭二種免許状
養護教諭 養護教諭専修免許状 養護教諭一種免許状 養護教諭二種免許状
栄養教諭 栄養教諭専修免許状 栄養教諭一種免許状 栄養教諭二種免許状

 

表をよく見てください。一つ空欄がありますね。そうです。高等学校の免許状だけは、短大卒では取ることができません。要注意です。

よって、免許状の種類は計20種類!…と言いたいところですが、厳密に言うと、中学校と高等学校の免許は教科別に分かれていますので、正確な種類数はこれよりもずっと多いことになります。

さて、気になるのは、「専修」「一種」「二種」の違いです。「専修」を取ると何か有利なことがあるのでしょうか? また、「二種」だと不利なことがあるのでしょうか?

専修免許について言えば、「取った方が得!」と言い切ることはできません。ただ、「取っておいて損はない」とも言えます。

例えば、初任給は最終学歴によって変わるので、大学院を修了した専修免許取得者のほうが、大卒の一種免許取得者よりも少しだけ高くなります。ただ、専修免許の場合、大学院卒なので、教壇に立つのは最速でも24歳です。そのため、

大学卒業 → 一種免許を取得 → 正規採用教員2年 → 正規採用教員3年目
大学卒業 → 大学院進学 → 専修免許を取得 → 正規採用教員1年目

上記は同じ24歳ですが、給与の差はほとんどありません。

また、専修免許を取ると「採用されやすい」「出世しやすい」との噂がありますが、決してそうとも言えません。以前は、そうした傾向が多少あったかもしれませんが、今の教育現場は実力主義。採用も出世も、人物や実績で判断されます。

同じことは、二種免許についても言えます。二種免許で採用されている人はたくさんいますし、名教師への道を歩んでいる人もいます。

ただし、二種免許の場合は、先ほど述べたように、高校教師になることはできません。また、一種免許へ切り替える「努力規定」があって、教育委員会が行う講習などを受けるように言われる可能性があります。

教師に求められるスキルの多くは、現場で身に付きます。そう考えれば、大学院には行かずに、少しでも早く現場へ出ることのメリットは大きいかもしれません。

もちろん、「もっと学びたい」という思いを持って、大学院へ進むならそれは立派なことです。ただ、もし採用や出世に有利だから…などと考えているならば、大学院への進学はおすすめしません。

教員免許状取得への道のり(小学校編)

笑顔の小学生男女と女性教師

小学校の先生は、国語、算数などの主要教科から、音楽、体育などに至るまで、全教科を教える力が求められます。加えて、1~6年生まで、全学年を教える力も求められます。それだけに、教員免許状取得への道のりも容易ではありません。

それでは、小学校教員免許状取得までの道のりを見て行きましょう。

まず、最低限必要なこと。それは、「高等学校を卒業していること」です。中卒では原則として教師になれません。ただし、大検(大学入学資格検定)に合格していれば大丈夫です。

高校卒業(大検合格)後の道のりは、大きく三つに分かれます。

①小学校教員養成課程のある大学の学部・学科に進学
②上記①以外の大学に進学後、他大学へ編入or通信教育課程などで必要な単位を取得
③小学校教員資格認定試験に合格

小学校の先生になりたい人の多くは、①を選択します。小学校一種免許状が取得できる大学の一覧は、以下のとおりです。

小学校教員一種免許状が取得できる大学

小学校教員二種免許状が取得できる大学

小学校教員専修免許状が取得できる大学

(平成21年4月1日現在)

ご覧いただいてわかるように、すべての都道府県に最低一つは、小学校になるための大学があります。ただし、一県に一大学のみ、という所も少なくありません。

小学校の教師になる一番の近道は、やはりこれらの大学に進学することです。②、③の道のりに比べても確実です。いわば、小学校教師になるための「王道」といえます。

ただ、これらの大学に行くと、民間企業への就職は厳しくなります。もちろん、うまく転進する人もいますが、就職率は高くありません。その意味では、①の道を歩むのなら「自分は絶対に小学校の教師になる!」と、覚悟を固めておいたほうがよいでしょう。

次に、国立と私立の比較で言うと、どちらが免許状を取りやすい、取りにくいというのはありません。どちらも、真面目に学んでいけば、ほぼ間違いなく免許状を取れます。

気になるのは、その先の採用試験です。「国立のほうが有利」なんて言う人がいますが、本当にそうなのでしょうか。

結論から言うと、断じてそんなことはありません。大学名や国公私立の差別はなく、教員採用試験の選考は公平平等に、「学歴不問」の「実力勝負」で行われています。

ただ、教員採用試験には一般教養の筆記試験があり、ここで求められる能力は、センター試験で求められる能力と似ています。そのため、センター試験の勉強を積んできた国立大学の学生に、やや有利に働く側面はあるのかもしれません。

小学校の教師になる!という決意を固めきれていない人には、②の選択肢があります。ただし、この道を通って小学校教員の免許を取るのは、なかなか大変です。大学4年間の他に、数年は必要だと考えたほうがよいでしょう。

例えば、小学校免許状を取らないまま社会人になった人が、「やっぱり先生になりたい!」と思った時なども、②の道のりと同様、通信教育課程などを使って免許状を取ることができます。

③の小学校教員資格認定試験(文部科学省)は、①②とは全く異なる、いわば「奥の手」です。チャンスは年1回。1次試験が8月末、2次試験が10月下旬、「指導の実践に関する事項に係る試験」が11月中旬に行われ、十分な能力が備わっていると認められた人にのみ、小学校免許状が授与されます。ただし、授与されるのは「二種免許状」です。

この試験、合格するのは容易じゃありません。合格率は、毎年1割以下。そうですよね。これで簡単に取れるようなら、教員養成課程の大学なんて、誰も行かなくなってしまいます。

いずれにせよ、小学校教員免許状取得への道のりは、そう簡単ではありません。教師は専門職ですから、当然といえば当然です。強い決意を持って臨んでください。

教員免許状取得への道のり(中学・高校編)

高校生イメージ

小学校の教員免許状が、専修、一種、二種の種別ごとに一種類なのに対し、中学校と高校の教員免許状は、教科別に分かれています。当たり前ですが、国語を教えるためには国語の免許状が、数学を教えるためには数学の免許状が、必要になってきます。

教科の種類をまとめたのが表1です。

表1 中学校・高校の教員免許状の種類
中学校 高校
国語/数学/理科/社会/保健体育/音楽/美術/家庭/技術/職業/職業指導/職業実習/宗教/外国語(英語、中国語、フランス語、ドイツ語、その他の言語に分かれる) 国語/数学/理科/社会/保健体育/音楽/美術/家庭/技術/職業指導/職業実習/宗教/外国語(英語、中国語、フランス語、ドイツ語、その他の言語に分かれる)/看護/情報/農業/商業/水産/福祉/商船

 中学校を順番に見ていくと「技術」までは分かるとして、「職業」以降は「?」と思った人もいるでしょう。外国語も「英語」以外は、「中学校で教えることなんてあるの?」と、疑問に思う人がいるはずです。

たしかに、公立の中学校にこれらの教科はありません。ただ、特別支援学校には「職業」などの教科があり、私立の宗教系の中学校や高校には「宗教」の授業があります。

また、大学の中には英語以外の外国語で受験できる所もあるため、私立の中高一貫校の中には、希望者に中国語やフランス語を教えている学校もあります。

こうして見ると、中学校・高校の教員免許状は種類が豊富で、広く門戸が開かれているように思えます。ただ、「職業」や「宗教」、英語以外の外国語などは、免許状を取得できる大学が限られていますし、採用試験も狭き門です。もし、「ついでに取っておこう」程度に考えている人がいたら、安易な考えは持たないほうがよいでしょう。

さて、上記を踏まえて、中学校・高校の教員免許状取得までの道のりを具体的に見ていきましょう。

まず、最低限必要なのは、「高等学校を卒業していること」です。この点は、小学校と同じで、中卒では原則として教師になれません。ただし、大検(大学入学資格検定)に合格していれば大丈夫です。

高校卒業(大検合格)後の道のりは、大きく二つに分かれます。

①中学校・高校各教科の免許状が取得できる大学の学部・学科に進学
②上記①以外の大学に進学後、他大学へ編入or通信教育課程などで必要な単位を取得

「中学校か高校の先生になりたい!」という人の多くは、①を選択しています。中学校・高校の免許状が取得できる大学は、以下のとおりです。

中学校・高校の教員免許状が取得できる大学

(平成21年4月1日現在)

一種免許状が取れる大学数は、国語が331、数学が488、理科が795、社会が1320などとなっています。小学校の一種免許状を取れる大学数が219ですから、中学校のほうが多いことが分かります。つまり、免許を取れる大学数だけで見れば、中学校の免許状は、小学校よりも「取りやすい」と言うことができます。

一方で、「取りやすい」=「持っている人が多い」ことでもあります。それはすなわち、採用試験のライバルが多いということです。でも、1000以上の大学で免許が取れる社会科は、採用試験の倍率も高い傾向があります。

なお、同一教科であれば、中学校と高校の両免許状を取るのは、さほど難しくありません。実際、多くの大学生がそのようにして、採用試験の段階で中高どちらを受けるかを決めているようです。

①以外の大学へ進んだ後、突然「やっぱり教師になりたい!」と思い立った人には、②の道のりがあります。その場合は、大学の教務課などに相談して、どうすれば免許状取得に必要な単位がそろうか、確認をするようにしましょう。

ちなみに、小学校にある「教員資格認定試験」は、中学校には存在しません。また、高校では一部の教科で行われていましたが、2004年度に休止されています。

すなわち、中学校・高校の教師になるには、大学へ通って、地道に単位を取得していくしかありません。気合を入れて、がんばってください!